2007/11/16

次は、Zoo Art Fair

Friezeでクタクタになった翌日は、Zoo Art Fair へ行く事になりました。

以前は、Friezeと同じリージェンツパークの奥の動物園のあたりで行われていて、この名前が付いたらしいのですが、今回はロイヤルアカデミーオブアーツ(ゴールドスミスと並ぶアートの名門…経歴に書くと免罪符のようになる)で行われました。

正面には銅製の物凄く大きなスカルプチャーがありました(春にNYCのダンボへ行ったとき、スマックメロンで見た作品に良く似ている・・・同じ作家かな??)。


でも、ZooArtFairの会場は、ロイヤルアカデミーオブアーツの正門を出て、右手のアーケード(イギリスの古き良き名店ばかり)を通り抜けた裏手の建物でした。



Zoo A.F.は設立5年位の若いギャラリーが主で、出展料も安目ということでした。1ギャラリーが占める面積も大変狭く、東京アートフェアーの奥の方:みたいな感じ、それよりも狭いかもでした。



作品も有名人はなく、まだこれから出ようとしている、そんなアーティストさんの作品が殆どです。
それでも、いろいろと面白い作品はありましたよ。
ギャラリーの方も腰が低く、丁寧に説明をしてくれていました。

日本の清澄ギャラリーコンプレックスにあるZENSHIが出ていましたね。頑張ってください。

会場の広さもギャラリー数もFriezeに比べたらかなり小規模なので、1時間くらいで見終わったのでほかのギャラリーを回ることにしました。

Zooの写真は、またこちらのウェブリアルバムに載せています。
面白い作品も結構ありますよ。

2007/11/10

シュテファン・バルケンホールと石田徹也 展

フリーズもズーも、ロンドンギャラリーもまだまだ続きを下書き中ですが、今日は興味深い企画展を2つ見たので、是非書きたくなりました。

1つは、清澄のコヤマトミオでやっているシュテファン・バルケンホール展です。
以前、オペラシティーでの展覧会で、その格好良さに感激した作家です。(作品がです・・・)
清澄の7階の会場は天井が高く広いので、シュテファン・バルケンホールの大きな作品もOKでした。
ドイツで生まれ、現在カールスルーエの造形芸術大学教授を勤めながら制作活動をしているそうです。
太い丸太や厚い木の塊をもとに、木目を生かした荒削りな、それでいて微妙な表情とか体つきなどが彫られているのです。
丸太の下の部分が台座の役目をして、その上に小さな人が立っていたり、レリーフで顔が浮き出た人物画のような作品も絵画のようで、で持ち被くとすごく荒いノミの跡があったりします。
模様などがレリーフとして彫られている背景を後ろにし、まえに彫刻を置き組み合わせたりしていますが、その背景だけでも素敵なんです。
11月17日までですが、ぜひ見に行ってみてください。




もう一つは、以前もNHKで取り上げられ、多くの人たちに名前が知られるようになった石田徹也の小さな展覧会です。飯倉片町(東京・六本木)のNOAビル・CB COLLECTIONで行われています。
今年7月に静岡で大規模回顧展が開かれていたそうですが、私は知らずに見逃してしまいました。
私もNHKで知って、凄い作品だと思い、是非実物を見たいと思っていました。
これは、ご両親が開いたHPです。
また、そこには石田徹也さんの作品集も載っています。

でも、今回、実際の絵を見て、そこから出て来る何らかの空気と細かな描写は写真などからは十分には伝わりません。

CBコレクションは会場が巻貝のようになっていて、一番奥の狭い部分に”体液”という絵がありました。
洗面台の蛇口部分に顔があり両眼から流れている涙がシンクに溜まります。なぜかそこに平たい海老?がいます
絵を見ていると、その世界に引き込まれ離れられなくなって、どんどん奥に入ってしまいます。
涙が流れそうになって、慌てて絵を見る眼をそらしました。

”距離””囚人””堕胎”、そして”無題”ですが、自分のベッドに草の生えかかったお墓があり、下に死んだ人?の手足が覗きます。石田さん本人と思われる男性はそのお墓の前に座っていて、窓の外には電車が走っています。

踏切事故でなくなったそうです。
細部にまで手を抜かず書き込んであり、その細かな部分を見ることでさらに彼の思いが伝わってきます。
幸い、CBコレクションは(雨だったせいと、交通が少し不便なので)人もあまり多くなくて、少し暗めの静かなギャラリーだったので、ゆっくりと何度も作品を見ることが出来ました。

これらの絵を描くために、一時、この世界に住んでいたのかなーとそんなことを思いました。

2007/11/09

Frieze Art Fair のこと Part2

Freze Art Fair のアルバムⅡはこちら

イギリス・ロンドンはもちろん、アメリカ、フランス、スペイン、イタリア、ロシア、日本、中国、アラブ等など、世界各国の大手ギャラリーが参加しています。
メインストリートには大手のギャラリーが広い場所で展示をしていて、見たことのある、有名な作家さんの作品が数多く展示してあります。

 
さすがにガラクタ??とおもえるような作品は少なく(もちろんありますよ、コンテンポラリーなので)、なるほどこういう発想ね、うーむ、おー、そうきたか、きれい~、いいねー、これっておもしろくない?へえ、これってこんなに人気があるんだ~、ほーっ!、いやらしっ@@、でもいいね・・・・・・・・などなど。
見ないと解らないと思う・・ごめんなさい。(アルバム見てください)

ギャラリーによって作品に特徴があり、アートの好みは本当に人の数だけあるという感じがしました。
各国で、それぞれのアートの流れがあって、それが何かの動き・企みで世界へ流れ出す。
イギリスで始まった流れが、アメリカで商業ベースに乗る。
商売のためのアートなのか?、人々の心や文化に何らかの影響を与えてゆくのがアートだと思いたいですが・・・。
”何でもあり” それがコンテンポラリーアートなのでしょうか?

場内にあるカフェは、サンドイッチや飲み物が並び、カウンターで買うことになりますが、コーヒーや紅茶など人の手間がかかるものと、棚から取ってすぐ買うものとはカウンター(エクスプレス)が違います。
とても効率のいい形だと思いましたね。

お昼は場内に出ていたヨースシの握りの詰め合わせにしました。
ここでも結構長い列が続いて、お寿司好きなんですね。
値段は忘れました。高かったことだけは確かです。

来ている人たちもさまざまで、でも、老若男女、ギャラリー関係者はもちろん、コレクター、一般人、アート関係者・学生、キュレーターのような日本人女性も作品と名札をカメラで記録していましたね。

アッパーの人が趣味で始めたギャラリーかと思われるような閉鎖的なブースには見るからにリッチなオーナーおじ様がデスク前に座っています。
イギリス版アキバ系の若いカップルとかもみられて、マンウォッチングとしてもかなり楽しめました。






また、建物の外、リージェンツパーク内には、野外での作品展示もあり、ディスプレイにバックと同じ景色が映し出されて、それが見る方向によって中の人物の出方が変化するなど、面白いものもありました。
アルバムでは見難いですが・・・。


また、FriezeFilmというのがあって、BMWが協賛して行われているのですが、4本のフィルムも楽しめましたね。(Frieze Film 2007 はここで見られますよ)ぜひ、一度見てください。一部のものもありますがThe Door は全部見られます。

午前11時から午後7時まで、殆どずっと見て回っていたので、足が石のようになって引きずりながら地下鉄で帰りました。

2007/11/04

Frieze Art Fair 見たこと、感じたこと PartⅠ


Friezeというのは、イギリスのアート雑誌で1991年に発行され、コンテンポラリーアート&カルチャーに関するヨーロッパの先導的な雑誌だそうです。


そしてFrieze Art Fairは毎年10月にロンドンのリージェンツパークで開かれる大きなアートフェァーで、世界から150のギャラリーが参加する、いわばコンテンポラリーアートの見本市のようなものです。
出展するアーティスト(それぞれの作品は所属のギャラリーに展示される)は現在活躍中の人達で、その数は1000人を超えると記載してありました。
確かに、いろんなアーティストのいろんな作品がもう見切れないくらい展示してあって、丸一日をかけてくまなく会場を回り見たつもりでしたが、撮ってきた写真を見て、”あれ?こんな作品あったっけ?”と思うものがたまにあるのです。


今回は10月11日ー14日まで開かれ、1日の入場料は前売りで12.5£(当日18.5£)、£高騰のおり日本円では3000¥となります。
普通のギャラリーは勿論無料ですし、イギリスの美術館は常設展は殆ど無料です。
しかし、企画の部分は有料で大体が12ポンド前後ですので、今回も入場料は馬鹿になりませんでしたね。

朝、週貸しアパートの玄関番のおじさんから、”リージェンツパークならすぐそこからバスが出ているからそれがいいよ”っていう言葉を否定できなくて、リージェンツパークではあるものの会場からはかなり離れたバス停に着いてしまいました。
でも、怪我の功名??で朝のリージェンツパーク(まるでイギリス絵画のようでしたよ)を散歩することが出来ました。



公園内を歩いていくと、遠くに白い建物が見えてきました。
会場は公園の一角に作られた白いテント張りの仮設です。(でも、すごく広くて中にはレストランありカフェは4つもあり、トイレも仮設とは思えないくらいのきれいなものでしたよ。)
11時を過ぎていたので、すぐに入場しました。

会場内は入ってくる光もテントを通してなので全体が白く明るく、一つ一つのギャラリーの占める面積が日本と違ってかなり広いです。
やはり、大手のギャラリーはいい場所を大きく占めていました。



入り口で貰った案内図を見る間もなく、作品を次々見て回ります。
作品も大きなものが殆どで、おぉー!、わぁー、へぇ~、という具合にもう、ただただ見るだけ。
コヤマトミオギャラリーに、以前ヒロミヨシイで知り合った方がいてちょっと挨拶。
言葉で説明するより、実際の写真を見て少しでも感じが判っていただけたらと思いますが・・・。

お昼は、寿司の販売があったのでそれをいただきました。結構な長い列で、やっぱりロンドンでも寿司は人気なのかな~と。

写真も沢山撮りましたので、別の所にアルバムにしておきました。
Art Fair関係ののアルバムはこちらです。

今日は一応これまで。

アルバムも、今後説明を少し入れていきたいし、まだ写真は沢山有るのでなるべく早めに追加分を載せるようにしますね。

2007/11/03

TateModern、もう一人の女性アーティスト:LouiseBourgeois

今回のテートモダンのExhibitionは、Louise Bourgeoisというフランスの女性のアーティストでした。
1911年パリ生まれ。1938年からNYCに住み、制作を続けています。現在95歳。



父親は男尊女卑の暴君で子供たちの家庭教師を愛人にし10年間同居していたなど家庭の混乱で15歳で家を飛び出し、彼女にとってアートは家族が求めるあらゆる感情的な生活から抜け出す手段だったそうです。



"The Destruction of the Father 1974”食卓における父親の暴君的な状態を示す作品

70年にわたる作家人生で、結婚、出産、子供の成長、そしてその後生きた時代によって、作品がガラッと変わります。
作品としては、作成年月が70年と長く、人生の流れと共に作品もどんどん変わっているので、これがブルジョアの特徴だというのは難しいですね。

木を使ったポール状の物や、家に半分埋まった人(家に縛られる女性を表している/写真は無し)、布で作ったカップルや人、金網の中に椅子やボロボロのタペストリーや鍵などなどが入れられた”セル”のシリーズ、性器を思わせる樹脂で形作られた立体、其の他沢山の作品が時代ごとに展示してありました。
そのエネルギーはどんどん強くなっていっているようです。




私達に馴染みがあるものとすれば、六本木ヒルズの大きな蜘蛛のブロンズ“ママン”でしょう。
東京の人なら写真を見れば結構知っているのではないでしょうか?
あの蜘蛛の作者がルイス・ブルジョアなのです。(と言っておきながら、私も今回初めて知ったわけで・・・)
テートモダン前にもありました。



インターネットの検索で出て来るブルジョワさんは、小柄なベレー帽をかぶった女性です。
物を作り続けるというのは、ただでさえ強いエネルギーを必要とします。
それなのに、男の子を3人も育てあげ、次々と作品を作り続け、その作品が見ている人に何かを感じさせる。
いい生き方だな。
同じ女性として、ちょっと自慢です。

テートモダンのDORIS SALCEDO

FRIEZE ART FAIRについても書きたいのですが、まだ写真の整理が出来ていないので、今回はテートモダンとWhiteCubeのHoxtonSquareのほうで行われていたDolis Salcedoについて書こうと思います。

Dolis Salcedoはコロンビアの女性アーティストで、家庭で使う椅子やベッドやドア、箪笥など使った作品で1980年代終わりから1990年代に名前が知られるようになった作家だそうです。

テートモダンでは、ユニリバーシリーズといって年1回8年間にわたってタービンホールを使って大きな作品を企画してきたそうです。
今回は正面玄関のタービンホールのコンクリートの床にヒビが入って、まるで床が割れてしまったかのような亀裂が端から端まで、始めは細く、次第に溝が深くなり亀裂も左右に及ぶという作品でした。
インスタレーション作品Shibboleth
亀裂の左右は、まさに割れたかのように凹凸があり掘り込んだとは思えません。
人種間の亀裂を意味するそうで、溝の内面には金網が張られていて、これも境界をあらわしているとか・・・。
そういう深い意味を知らなくても、入り口の所から細ーい亀裂で始まったものが次第に幅を広げて、タービンホールを縦断している様はその大胆さ(作成するほうも、場を提供するほうも)には、やってくれるね~!と嬉しくなってしまいました。
来年の4月6日までだそうですから、ヒビを埋める前にぜひロンドンへ行ってみてください。

WhiteCubeでは、主に家具を使ってそれらをコンクリートで固めた作品や靴を閉じ込めた作品が展示されていました。
壊れた椅子やアンティークの箪笥が組み合わさって、中に入れているレースの洋服ごとコンクリートで固めてあったりします。
初めは、地味なので強烈さはないのですが、見ているうちになんとなく不思議な気持ちにさせられます。
なんていったらいいか、突き放したような寂しさ、醒めた孤独感、過ぎ去ったもの、黙った我慢、それでいてなんとなく女性、そんな印象です。
WhiteCubeは写真が取れませんので、こちらで見てくださいね。

また時間を見て、追々他のギャラリーやアートフェァーについて書きます。