2008/10/28

ちょっとがっかり、Saatchi Gallery 2008.10

まだか、まだかと楽しみにしていたサーチギャラリーが、この10月にチェルシーにオープンしました。
スローンスクェアー駅から数分です。
チェルシーのハイクラスな街並みに面してエントランスがあります。




ヨーク公爵邸を改装した建物で外観はお屋敷のようですが、中は真っ白の壁に広ーい展示室がつながった巨大なギャラリーなのです。
以前のサーチはテムズ川沿いのカゥンティーホールにあって、外も古めかしかったけど中も古めかしくて、でもそこにギョッとするような作品が並べられていて、そのミスマッチがまたとってもイギリスらしいと思って好きだったので、ただの白い箱になってしまったギャラリーがちょっと淋しかったです。


フリーズなどのアートフェアーシーズンに間に合わせたのだと思いますが、延び延びになっていたオープンが10月9日となり、第1回の企画が中国アートということで、中国のコンテンポラリーアートを欧米がいかに注目しているかがわかります。



でも、個人的にははっきり言って苦手です。
とてつもないパワーは感じますが、エネルギーが激しすぎて疲れる感じがしました。
大きかったり、カラフルだったりするのですが、その中に沈殿した押さえ込んだ何かがあるようで楽しめなかったです。
でも、そのエネルギーの強さが人気なのでしょうね。



デミアンハーストとか、ミュレック、リチャード・ウィルソンの油の部屋なんかがまた見れるのかと楽しみだったのですが、もうそれは話題性としては古いのでしょう。
少し残念でした。

でも、きっとサーチのことですから世界中から新しいドキッとするものを見つけて、また楽しませてくれることと思います。
次回に期待します。

Lisson G. BellStreet、London 2008年10月15日

今回のリッソンギャラリーは、Julian Opie.
つい先日、水戸現代美術館での企画展へ初日に行き、Opie本人にも会いました。(っていっても、会場内を下見していた本人を見かけただけですが・・・)
Lisson G.はメリルボーン近くのベルストリートに2軒あるのですが、両方ともOpieでした。




大好きなので、どの作品も(水戸と同じものも幾つか有りましたが)素敵でした。
品があってシンプルなくっきりとした線なのに、とても優しい感じです。
一部だけが動く肖像画やLEDの歩く電飾、そして液晶画面の日本シリーズも数多く展示されていました。
中庭を囲む外の塀にも大きなオピ作品がタイルで作られていて、古い家並みとモダンな作品がよく似合っていました。



水戸で同じ作品を見たこということもあり、リッソンでの展示がとても上手だなーと思いました。
一つ一つの作品がそれぞれにより引き立つような環境で展示されているのでした。
一つの部屋は1シリーズの作品でまとめられ、他の作品は目に入りません。
そのシリーズの世界に入り込むことで、より楽しめるというわけです。
水の中の動きを輪郭のみで線描きしたChristine swimmingも、水戸ではただの白壁に展示してあったのですが、リッソンでは半地下のようになった部屋の3方に一つづつ展示されていて、道路側が一面のガラス窓になっており、コンクリートの下半分のラインが水面とみなしたような配置になっていて、まるでプールの中を泳いでいるかのように見えて生き生きしていました。
どこにどの様に置くかということも大切なのですね

2008/10/27

今回こそ、ホワイトキューブ&ガゴシアン・ロンドン

昨年は下書きだけで終わってしまった WhiteCube and GagosianGallery/London .
早めに書いておきましょう。

フリーズの時期に合わせ、10月の初旬からはどのギャラリーもすごい作品を出すのも、この時期にロンドンへ来る楽しみの一つですね。

HoxtonSquareのWhitecubeは、JosiahMcElhenyのIslandUniverseという作品です。
惑星が光を放つ、又は爆発して拡大している、そんなイメージを持ちました。
とても精密に高度な技術で作られた作品で、とても美しかったです。




もう一つのフォートナムメイソン裏にあるWhite Cube Mason’s Yard では、Robert Irwin: Light and Space Ⅰ,Ⅱが展示されていました。
グランドフォロアーにはⅠBrackとして、薄い紗のカーテンが数枚下がっていてその真ん中の部分に黒い四角が染めてあるのですが、真正面からそれを見るとグレーのグラデーションで四角が透き通ってとても綺麗な影を作ります。
部屋全体が少し薄暗くて、神秘的な雰囲気がありました。

(写真がどうやっても90度回転してしまうのです。右が上です。まあ、この写真ならそんなに違わないですが・・・)

アーゥインは今年の3月にNYCのビーコンへ行ったときに蛍光灯の作品が大きな長い廊下にずーっと並べてあったのが印象的でしたが、

ホワイトキューブの下の階の作品はその系統で Light and SpaceⅡとして蛍光灯が前後の壁面一杯を使ってあり、綺麗なリズムを持った丁寧な作品でした。


キングスクロスから歩いて5分くらい、DaviesStreetのガゴシアンは、今回すごいものをギャラリーの中に持ち込んでいました。
Richard Serraの巨大鉄板作品です。
セラもやはり3月にビーコンへ行った時に見ています。
ビーコンの大きな工場跡の展示室に巨大なタンカーのような鉄板が何層にもそそり立っていて、そのスケールに驚きましたが、なんとそれに近いような作品をロンドンのギャラリー内に持ち込んで展示しているのです。
ガゴシアン、パワーを見せ付けていますね。
鉄板の間を歩いていくと迷路のようにどんどん中へ中へと入り込んで、別世界へ入ってしまうのではないかと思わせます。





ギャラリーでこんなすごい作品が見られるなんて、LONDONってすごいです。

2008/10/25

久しぶりのロンドン・アート 1 The British Museum- Statue Philia

1年ぶりに、Frieze Art Fairを見るためにロンドンへいきました。

10月11日にロンドンへ到着し、日月はギャラリーがお休みなのでThe British Museum大英博物館へ行きました。
常設展示はもう目新しいものは無かったのですが、今回企画展Statue Philia(10月4日から来年1月25日まで)が行われていていました。
この企画は、AntonyGormley,DamienHierst,RonMueck,Noble&Webster,MarcQuinnの6人の作家による5つの立体作品が館内の5箇所で、常設の展示物と同時空間で展示されるものです。
モダンアートと古代のアートが不思議にとけこんで面白い空間が出来ていました。

まず、正面玄関を入ると来た人たちを祝福するように8.5mの羽を広げた天使が迎えます。
これはAntony Gormlyの作品Case for an Angel 1です。
シンプルで、でもとても荘厳で、エジプトやアッシリア、その他大英博物館にある古代の像とも共鳴するものがあるようです。

広い大英博物館の5箇所にあるので、その場所を示す地図を見ながら歩きます。
たいていは、人だかりがしている所がそうです。(ロゼッタストーンを除くと^^)

ロンミュエックは十和田の現代美術館に大きなおばさん像がありますが、金沢の現代美術館でも企画展、ありましたよね。人気ですね。
テーマで分けられたリビング&ダイイング生と死Room24にありました。グレートコートからも見えるので直ぐにわかります。
モワイ像の前でした。
大きな顔を持ったモアイ像の前に眠っている大きな男の人の顔。
下になった頬や口がゆがんで、近づいて見ても皮膚そのまんまでした。

MarcQuinnの作品は、ツタンカーメンを思わせる金色の女性像です。
古代ギリシャ・ローマの部屋にあります。
ケイトモスがモデルで、Sirenという表題はギリシャ神話の”歌声で船乗りを誘い寄せ船を難破させる魅力的な美女セイレン”だそうです。


Noble&Websterは、Tim NobleとSue Websterの二人。
セクシュアリティーやタブー、独自性、自画像という観点で、ダークでウィットにとんだオリジナルな作品を15年間ほど創り続けているそうです。
この作品も気持ちの悪い鳥の残骸のような塊にスポットライトが当たっているのですが、後ろの壁には作者二人の横顔がシルエットで浮かび上がっているというものです。
エジプト彫刻のルーム4の一角に突然現れました。
ちょっと不気味ですが、なかなかユニークで驚きもあり印象的でした。


さて、最後のデミアンハーストですが、それまで常設展示も含めかなり見て廻っていました。
地図に書いてある場所も通った気がするのですが、あった??っていうことになり、再度その展示室へ行って見ました。
すると、ありました~!
Room1はEnlightenment、18世紀ヨーロッパの書物などを入れる天井までとどく大きな棚が連なっているのですが、なんとその棚の数列にびっしりと色とりどりのどくろが並んでいるではありませんか。
おーっ、すごい・・・。
古い由緒ありそうな書棚に全てに異なる色彩を施したデミアンハーストの何十という髑髏が並んでいました。



大英博物館、やるな!って感じでしたね。
古いものと新しいもの、何だかまったく違和感無く、楽しい企画でした。